京都庭園散歩 松尾大社(2018年6月)
場 所:西京区嵐山宮町3
拝 観:無休
拝観料:境内自由
庭園は500円
拝観時間:境内は5:00~18:00
庭園は平日・土曜は9:00~16:00、日曜・祝日は9:00~16:30
太古の昔よりこの地方一帯に住んでいた住民が、松尾山の山霊を頂上に近い磐座(いわくら)に祀って、生活の守護神として崇拝していたのが始まりと云われています。
5世紀の頃、朝廷の招きによって朝鮮から渡来した秦氏がこの地に移住し、松尾山の神を一族の氏神として仰ぎつつ、新しい文化をもって山城・丹波の両国を開拓・治川に従事した。
大宝元年(701年)に天武天皇の勅命を奉じて、秦忌寸都理(はたいみきとり)が現在の地に社殿を造営し、山上の磐座の神霊をその社殿に移した。
平安京遷都に伴い、桓武天皇の折、松尾大社と賀茂神社とが皇城鎮護の社となり、ますます崇敬は厚く加わるようになった。
式内社(名神大社)で、二十二社の一社。
祭神は大山咋神(おおやまぐいのかみ)と市杵島姫命(いちきしまひめみこ)の二神。大山咋神は山の上部に鎮座されて山及び山麓一帯を支配する(大主)神。市杵島姫命は、福岡県宗像市の宗像大社に祀られる宗像三女神の内の一神で、中津島姫命(なかつしまひめのみこと)の別称とされている。市杵島姫命は、海上守護の霊徳を仰がれた神で、秦氏が朝鮮半島と交易する関係から、航海の安全を祈って勧請されたと伝えられています。
四条通りの西端、桂川に架かる松尾橋を渡りかけると松尾大社の朱塗りの大鳥居が見えてきます。橋を渡り阪急嵐山線を越えて松尾大社へ。
楼門は、寛文7年(1667年)に桁行三間・梁間二間の三間一戸で、屋根は入母屋造檜皮葺。
楼門を潜ると右手に掘割と手水舎があります。
正面には広場中央に、入母屋造・檜皮葺の拝殿があります。
拝殿の左手には奉納された菰樽が一杯飾られた神輿庫があります。現在、本殿と並ぶ形である神庫の位置に元はあった建物で、文久3年(1863年)に今の位置に移築されたもの。
渡来した秦氏が酒造技術に優れていたことに由来すると云われています。狂言「福の神」によれば、松尾大社の神は「神々の酒奉行である」とされいて、現在も神事にこの狂言が奉納され、酒造関係者からの進行を集めています。社伝によると、本殿背後にある霊泉「亀の井」の水をお酒に混ぜると腐敗しないと云われているそうです。
本殿は、弘安8年(1285年)の焼失後、室町時代初期 応永4年(1397年)に再建され、天文11年(1542年)の大改修を経て現在に至っています。桁行3間・梁間4間の一重檜皮葺で、側面から屋根を見ると前後同じ長さに流れており、「両流造」(松尾造)とも称される独特の造りとなっていて、国の重要文化財に指定されています。
本殿には向拝を接して釣殿が接続され、回廊が四角に本殿を囲む形で伸びています。
この回廊には中央の中門以外に向かって右に「北清門」、左に「南清門」が開いています。
回廊の中には本殿の右隣り(北側)に神庫が建っています。縦2間・横3間の校倉造・檜皮葺です。本殿に向かって左側(南側)に、それぞれに霊験あらたかな「幸運の撫で亀」(寿命長久・家庭円満)と「相生の松」(恋愛成就・夫婦和合)があります。
その横には大木の切株が2つあり、その傍に、松尾大社周辺は「カギカズラ」の野生地と書かれた立て札があります。
更に南に行くと、境内社としての南末社4社(衣手社・一挙社・金刀比羅社・祖霊社)があります。
戻って、本殿の回廊に沿って北側の社務所の方へ。社務所の前には、神使いの庭「亀と鯉」があります。
社務所に併設されて建つ玄関で受付を済ませて庭園へ。
庭園は3つあり、「松風苑」として昭和50年(1975年)に昭和を代表する作庭家・重森三玲(しげもりみれい)により設計・造園されたもので、彼の絶作にあたります。
「曲水の庭」と「太古の庭」は北側の「北清門」の右隣りを回廊を潜って入るとあります。3つ目の「蓬莱の庭」は楼門を入る手前・右側にある食事処「団ぶ鈴」の横を抜けた裏側にあります。
回廊を潜ると正面に境内社である北末社の3社があり、右手に「亀の井」、左手奥に「霊亀の滝」がかかっています。受付の建物を右に曲がると「曲水の庭」に出ます。
北末社は、玉依姫命を祀った「三宮社」、四季の神を祀った「四大神社」(しのおおかみのやしろ)そして「滝御前」です。
「亀の井」は、「よみがえりの水」とも呼ばれ、諸病快癒・延命長寿・寿福増長にご利益があると云われています。また、酒造家はこの水を酒の元水として造り水に混ぜるのだとも云われています。
近年、癒しのスポットとして有名な「霊亀の滝」(れいきのたき)
回廊を潜って右に折れて庭園へ。「曲水の庭」は、奈良・平安時代の曲水式庭園を範として構成で、洲浜に沿って水が流れ、背後の築山と石組みそれらを繋ぐように配置されたサツキの大刈込が美しい庭園です。
隣が「上古の庭」です。松尾大社の背後にある磐座に因んで、神々を巨石により象徴したもので、ミヤコザサを植えることで深山の趣きを表しているそうです。
「上古の庭」を出て掘割沿いに登っていくと道は左に曲がり、「霊亀の滝」の方に繋がります。途中入れませんが山に登る道が見えます。「上古の庭」に向かって右手奥のやまの頂きに磐座(巨石)があります。
回廊の下を潜って再び境内へ。受付をした玄関の前を通って、手水舎の裏手から「蓬莱の庭」へ。
「蓬莱の庭」は三玲が池の形を指示し、その後長男の完途が遺志を継いで完成させたもので、最初で最後の親子合作の庭園です。古典手法(石組み)と現代手法(池の護岸)を巧みに取り入れた池泉回遊式の庭園です。庭園の左手に見える建物は客殿です。
撮影:2018年06月07日
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