京都庭園散歩 十輪寺(2019年06月)

場 所:京都市西京区大原野小塩町481

拝 観:無休(行事がある時を除く)

拝観料:400円

拝観時間:9:00~17:00

天台宗の寺院で、山号は小塩山(おしおざん)、本尊は延命地蔵菩薩です。平安初期の歌人で六歌仙の一人である在原業平が、晩年にこの寺に隠棲したとの言い伝えにより、通称「業平寺」と呼ばれています。

文徳天皇の御后・染殿皇后(藤原明子)の世継誕生を祈願して、嘉祥3年(850年)に伝教大師御作の延命地蔵菩薩を安置したのが始まりとされています。その後、めでたく皇子が誕生され清和天皇となられたことより、文徳天皇の勅願所となりました。

その後、応仁の乱の兵火で伽藍が焼失し荒廃しましたが、藤原氏の花山院家の菩提寺となり、寛文年間(1661年~1673年)に再興され、堂宇も整備されて現在に至っています。

JR向日町或いは阪急東向日町駅から、阪急バス(66系統)に乗って「小塩」下車すぐ。

小塩バス停の少し東側に十輪寺の案内板と石段があります。

石段を登って山門へ。

山門を潜ると前庭があり、正面右手に受付があります。

受付を済ませ建物の西側を覗くと、間から茶室と「三方普感の庭」の一部が見えます。

草門を潜ると右手に池があり、高廊下が奥の本堂まで延びています。

本堂と高廊下。

本堂から振り返って草門の方を見た景色。

池に咲く水連の花。

本堂は寛延3年(1750年)の再建で、屋根は鳳輦形(ほうれんけい)という神輿を型どった非常に珍しい建物です。内部天井の彫刻も独特の意匠が施されていて京都府の指定文化財になっています。

本堂右手前にある手水鉢。

本堂に上がって庭の方を振り向くと、正面右奥に鐘楼があります。鐘楼は寛文6年(1666年)の建立で、梵鐘は「不迷梵鐘(まよわずのかね)」と呼ばれ、決心がつかず迷っているときにこの梵鐘を撞くと決心がつくと云われています。いずれも京都府の指定文化財です。

また、正面奥には「業平紅楓」と「大樟樹」があります。大樟樹は樹齢推定800年と伝えられており、願掛けの樟と呼ばれている御神木です。

本堂にてお参りを済ませ、「三方普感(さんぽうふかん)の庭」へ。この庭園は寛永3年(1750年)の再建時に、右大臣藤原常雅が作庭したものです。高廊下・茶室・業平御殿の三か所から「立つ」「座る」「寝る」の3通り見方で趣きの違いが楽しめるように作庭されているそうです。

本堂側と高廊下側と茶室側から見た庭園。

庭には樹齢推定200年の「なりひら桜」があります。

茶室側右手前にある手水鉢と庭園。

高廊下を戻って本堂を下りて裏山へ。

石仏の前の細い坂を登ると、在原業平の供養簿と塩竃のある裏山に行けます。

左手に小さな宝篋印塔があり「在原業平卿之墓」の石碑が建っています。

右手に進むと、在原業平が晩年に隠棲し、塩焼きの風流を楽しんだと云われている塩竃跡に至ります。今もここで、毎年11月23日に「塩竃清めの祭」が行われています。

石燈籠と手水鉢。

裏山からは本堂の甍や「なりひら桜」及び「大樟樹」などが見られます。

入口の山門に戻って境外へ。

2019年06月12日撮影。

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