奈良神社仏閣編 海龍王寺(2018年5月)

場 所:奈良市法華寺町897

拝 観:盆(8月12日~17日)と年末(12月24日~31日)を除いて無休

拝観料:500円(特別公開時:600円)

拝観時間:9:00~16:30

真言律宗の寺院で、本尊は十一面観音。藤原不比等の娘である光明皇后が、不比等亡き後邸宅を養老4年(720年)に相続したことから、邸宅は皇后宮となり、邸宅の北東隅にあった寺院は「皇后宮内寺院」となった。北東隅にあったことから「隅寺」とも呼ばれている。

創建については、正確なところは分かっていない。不比等が土師氏から邸宅地を譲り受けた際、すでに寺院があったのをそのまま残したともいわれています。伝承では、聖武天皇と光明皇后が唐から帰国した玄昉をこの隅寺に住持させたとなっています。

都が平安京に遷都するのに伴い衰退するが、鎌倉時代に、真言律宗の宗祖である叡尊が住持して復興に努め、その後当寺から5名の西大寺長老を輩出するいたり、真言律宗の中でも筆頭格の寺院になった。

しかし、室町時代に起こった応仁の乱の影響を受け衰退。江戸時代には幕府から知行100石を与えられて伽藍を維持してきたが、明治の廃仏毀釈を受け東金堂が失われる等して荒廃。

昭和40年~42年にかけて西金堂・経蔵が解体修理され現在に至る。

発掘調査から奈良時代の海龍王寺は、小規模ながら中門の左右から回廊が延びて中金堂に至り、その回廊に四角く囲まれた中に東金堂と西金堂が対峙する形で配されていたことが分かっています。

国道104号線に面した山門から境内へ。山門(表門)は、中世建築の様式を伝える四脚門で市の指定文化財です。

山門から築地塀に囲まれた参道が真っすぐに伸びています。小門を潜って受付を済ませると草木に囲まれた参道の向こう正面に西金堂が、右手に本堂が見えます。

西金堂は、鎌倉時代と昭和40年~41年に大規模な修理を受けてはいるものの、一部奈良時代の木材を使用しており、国の重要文化財に指定されています。

西金堂内には、国宝の五重小塔が安置されています。様式的には元興寺の五重小塔よりも古い8世紀前半頃のもので、細部様式が薬師寺三重塔に類似していて奈良時代の建築様式を知る上で重要とされています。

右手の本堂は江戸時代・寛文6年(1666年)の再建で、市の指定文化財になっています。本堂前からの景色。

本堂から見て左手、西金堂と対峙する形で建っていた東金堂の跡地。

この跡地の向こうに経蔵があります。叡尊により造立されたとされる寄棟造・本瓦葺きの建物で、国の重要文化財に指定されています。

庭園はありませんが、落ち着いた雰囲気が素敵でした。

撮影:2018年05月22日

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