奈良庭園散歩 特別名勝 平城宮東院庭園(2018年5月)

場 所:奈良市二条町2-9-1

拝 観:無休

    但し、月曜日(月曜が祝日の時はその翌日)及び12月29日~1月3日は休館

拝観料:無料

拝観時間:9:00~16:30(受付は16:00終了)

平城宮は東に張り出し部分を持ち、この張り出し部分の南半分は、奈良時代に「東院」若しくは「東宮」と呼ばれていた。神護景雲元年(767年)に称徳天皇はこの地に瑠璃色の河原を葺いた「東院玉殿」を建て宴会を催した。その後、光仁天皇の建てた「楊梅宮」もこの地にあったものと考えられています。

1967年、この橋出し部分を発掘調査した結果、大きな庭園の遺構が発見され、「東院庭園」と名付けられた。奈良時代の庭園については、万葉集等からその様子をうかがうのみでしたが、発掘調査を進めた結果庭園部分とその一帯の様相がほぼ明らかとなった。

東院庭園は東西60m、南北60mの南から見て逆L字形の池を中心に構成されています。池は前期と後期に分けられています。前期の池は単純な逆L字形であり、汀沿いの池底には大きな玉石を敷き詰めていました。後期の池は、いくつかの入江や出島が造り直され、北岸には築山石組みが新たに造られて、より複雑な構造となっています。また建物も何度か建て替えられていました。

復元は次のような基本方針に沿って整備されました。

 1 奈良時代後半の庭園の姿及び建物を復元整備する。

 2 遺構は保護のため土で覆い、その上に池及び不随の建築物を原寸大で復元する。

 3 出土した植物遺体等の発掘成果や文献資料をもとに、植栽樹種を選定し、古代庭園に相          

  応しい景観を復元する。

逆L字型の池を中心に、西岸には中央建物に付随する露台が水面に張り出し、露台から東岸には橋を架けています。池の北端には築山石組、西南部には中島があって、それぞれ庭園景観の焦点となっています。屈曲する出島の先端には景石が配され、ゆるやかな勾配で小石を敷き詰めた洲浜の出入りある汀線を形作っています。奈良時代の優美な庭園の様子が偲ばれます。

発掘復元された「平常宮東院庭園」は、奈良時代の貴重な庭園として2010年に国の特別名勝に指定されました。

南側から見た景色。建部門(たけるべもん)(東院南門)から南面大垣が右隅に見える「隅楼」まで延々と続いています。

中に入ると右手(写真では左手)に西建物があります。建物の中には発掘の様子や出土品等が展示されています。

庭園の全体図。

西建物から板塀を抜けると庭園にでます。左手に中央建物と平橋が、池の中央には中島が、右手奥に隅楼が見えます。

中央建物は、東院庭園の「正殿」で、宴会や儀式の際に中心となった建物です。建物に向かって右側に露台が付き出てて、ここから東岸に平橋が架かっています。

隅楼は、基礎を固めるために手の込んだ作業がなされていることが発掘でわかり、2階建てであったと想定されました。1階は折れ曲がりの檜皮葺・切妻造に復元、2階は宇治平等院鳳凰堂翼廊の隅の部分にならって宝形造・檜皮葺に復元されました。

隅楼の手前から、中央建物及び北東建物を見た景色。

平橋のたもとから北東建物とそれに掛かる反橋を見た景色。

反橋の左手に見える築山石組み。

北東建物側から見た景色。

撮影:2018年05月22日

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